第5 遺産(負債も含む)の確定
第5 遺産(負債も含む)の確定
1 遺産に含まれるものは?
相続人が確定した後(同時並行の場合もあり)、今度は実際に分割する遺産の確定をする必要があります。
遺産は、亡くなられた方の持っておられた財産すべてになります。代表的なものをあげておきます。
・不動産(土地・建物)
・借地権
・現金
・預貯金(死亡日の残高が遺産になります)
・株式、債券、ゴルフ会員権
・自動車
・債権(第三者への貸付金などです)
この中に入っていないもので、生命保険金があります。実務上よく問題になるのですが、基本的に、生命保険金の受取人が「妻」などと指定されている場合には、その受取人固有の財産になるため、遺産には含まれません。したがって、遺産分割の対象にもならないということです。
また、預貯金(現金は除きます)については最高裁の判例があり、相続発生と同時に、各相続人の相続分に応じて当然に分割されたことになりますので、理屈の上ではすでに遺産分割の対象とならないことになります。もちろん、相続人間の話し合いで取り分を変更することはできます。
2 銀行口座が凍結された!
銀行等の金融機関は相続発生を知るとその口座を凍結してしまいます。この場合は、相続人全員の実印と印鑑証明書を添付し、所定の書類を提出する必要があります。
3 遺産の調査をしたい場合は?
亡くなられた方がどのような財産を持っていたのか、どのぐらいの価値があるのかについては、調査が不可欠です。
たとえば、不動産を複数持っておられた、預金があの銀行に入れてあったが金額が分からないなどの場合です。
相続人であっても遺産調査は困難なことが多く、この場合は、専門家に相談されることをお勧めします。
4 借金がある場合は?
借金も当然に相続の対象となります。マイナスの債権なので、上記預貯金と同様に相続発生と同時に各相続人に相続分に応じて振り分けられることになります。
ただし、実際には、相続人の一人がすべて借金を引き継ぎ、その分を差し引きして他の相続人に遺産を分割することが多いです。
5 借金が遺産より多い場合には?
この場合は家庭裁判所へ申し立てることで、相続を放棄することもできます。
つまり、プラスの遺産をすべて手放すことを条件に、マイナスの遺産(借金)も負わなくてよくなります。
相続放棄は、手続ができる期間が3か月と短く、また遺産の一部を使ってしまうと相続を承認したものとみなされ、放棄ができなくなることもありますので、借金が多い場合にはお早めにご相談される方がよいと思います。